故・並河氏を偲びつつ
今月8日、著名な写真家がまた一人逝った。
その人の名は並河萬里氏。
彼は中近東のシルクロードの遺跡をモチーフに、撮り続けていた。
写真鑑賞が趣味の一つであるわたしは、確か5年前に行った
シルクロード写真展で、彼の写真と出会った。
どこもかしこも圧倒される写真の数々。
色んな写真家がいる中、並河氏の写真は歴史を語っているかの
ように感じた。
最も、彼は文化財の保存に力を入れていたのだから、歴史的
背景を感じるのは当たり前かもしれない。
戦争写真家のロバート・キャパ氏や一ノ瀬泰造氏は戦火に生きる
人たちの生き抜こうとする必死さ、悲惨きわまる戦争の真実を
ファインダーを通して訴えていた。
並河氏の写真が写し出すその遺跡からは、今の生活の恩恵を
感じさせる文明の偉大さを感じ取ることができる。
彼の写真の中に、忘れられない一葉の写真がある。
イランの遺跡だったと思うが、その遺跡へ上る階段の写真。
それは、下からの絶妙なアングルで撮ったもので、澄みわたる
青空がその階段と素晴らしいほどに調和していた。
電撃が走り、しばし、時が止まり、遺跡が作られた時代へと
タイムスリップしたかのような錯覚を覚えた。
まるで自分がその場にいて、まさに階段をのぼらんとしている。
階段をのぼっていったら、どのような展開が待ち構えているの
だろうかー。
重ねあげられている石階段からは、文明の偉大さも感じさせ
られ、自分の中にしっかりと刻み込まれていくそんな写真だった。
写真家が真剣な目でファインダーをのぞき、今だとシャッターを
押す数千分の一秒の瞬間、そこに写し出されたものに、わたし
たちは何を感じ、何を刻み込んでいくのか。
個々に違うであろうが、たった一葉の写真でもわたしたちの
生命に訴えるものは、計り知れない。
並河氏は日本も撮り続けていたと最近知り、早速写真集を見て
みようと思う。日本の歴史観も感じながら・・・。
最後に、並河氏のご冥福を心よりお祈りして。
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